留学生の採用と外国人技能実習生を受け入れる場合の違いは何?

現在のグローバル化の波に乗って、外国人の雇用を考える企業も増えつつあります。外国人の雇用を考える中で、外国人実習生を受け入れることを考える企業もあるのではないでしょうか。

 

外国人実習生とは技能実習ビザで日本に滞在して、技能実習として比較的単純作業とみなされる労働を行う外国人のことです。技能実習制度という制度に基づいてやってくる外国人で、日本が発展途上国に国際貢献をしようと考えて作った制度です。

 

そのため、外国人実習生としてやってくる外国人はベトナムやフィリピン、ミャンマーなどの国からやってくる外国人ばかりです。中国人もいますが経済発展に伴い、技能実習生の中国人は年々減少しています。では、そんな外国人実習生の受け入れとはどんなものなのでしょうか。留学生の採用との違いで比較検討していきます。

留学生と実習生はビザが違う

外国人実習生は、あくまで研修や技能実習の目的で日本に来日をしています。そしてこれは技能実習制度によって期間が定められているため、就労ビザではなく、技能実習ビザとなりますので、日本で長く働こうと考えるのであれば、他の方法をとらなければなりません。

 

実際に外国人が日本で就労を希望する場合は、留学生だと日本で就職活動した上で、内定を取った後に就労ビザに切り替えることが必要となります。その方法でなければ、日本で継続して働くことができません。通常の留学生の採用では、採用する前は留学ビザで、採用後に通常の就労ビザを取得するので就職活動も留学ビザの活動の範囲内として定められています。

 

さらに、留学生は留学ビザのまま資格外活動許可を取得すればアルバイトは許され、週28時間までは単純労働もできます。このビザの違いが外国人実習生と、留学生に大きな違いを生み出しています。

採用募集のやり方が違う

現在の日本に留学して来ている留学生は、通常の日本人学生と全く同じ動き方で就職活動を行います。そのため、おおよその流れとしては企業エントリーし、選考を重ね、内定という流れです。

 

しかし外国人実習生は、まったく企業への入社までの流れが異なります。まず大きく違うのは、母国で面接から就労先の企業決定まで行われることです。そのため、日本に来日する前にすでに採用も決まっている状態で来日をするので、すぐに来日できるものではなく手続までに時間がかかります。

 

留学生は、就活時点で日本国内にすでに滞在しているので自分の力で足を運んで、自分で選考を突破して企業を決定していきます。ですが、外国人実習生は、母国の送り出し機関に所属して日本語や日本のビジネスマナーを学びながら、日本の受入機関(主に組合)に所属する企業からのオファーを待ちます。営利目的としていない受入機関(主に組合)が傘下の企業に対して派遣する形を取っています。技能実習生自身が選ぶのではなくて、企業側が主導で選考が進みます。

目的の違い

技能実習生は、あくまで技能実習や研修を目的として来日をしているので、最初から長期的な滞在を目的とはしていません。3年から5年ほどで帰国します。

 

しかし、留学生になると、日本への来日の理由は勉強です。就職のために来日をした訳ではなく、あくまで日本の学校で学ぶという意思で来日をしているということで目的の違いが明確です。

 

さらに、留学生の日本で就職する上での考え方としては、あくまで自分のキャリアを積みたいという考え方です。キャリアを詰めれば、母国に帰ることもそのため考えるでしょう。そして企業側も、最近で言うと、グローバル化と。この日本の人材不足の状況を加味して、留学生のことを重宝している傾向にあります。しかし技能実習生は、あくまで練習生のような、技能実習や研修と捉えている企業の担当の方が多いでしょう。

外国人実習生受け入れの問題点

近頃日本は外国人の採用に目を向けて、外国人が日本で働きやすくできるように政府が外国人採用の雇用促進をさらに考えています。実際に就労ビザなどの取得制限の緩和などを政府が国会で話し合っています。

 

そんな中で、外国人実習生においては、近頃残念な話題が世間で非常に問題視されています。それは外国人実習生への残業代の未払いを筆頭とする労働基準法違反や、日本人からのいじめなどの問題です。

 

技能実習制度を使って来日する外国人たちは、発展途上国からがかなり多くなっており、来日をするのにも多額の費用がかかっているため、どんなひどい現状があっても我慢をして働いている劣悪な環境が明るみになっています。外国人実習生が実習先で自殺してしまうという悲惨な事件も起きてしまいました。

 

技能実習制度を使って外国人実習生を受け入れている企業が増加していますが、実習生に賃金を払わないことによって人件費を削減できるという考えや、最長3年間働けるので3年間は人員が確保できるなどと考え、技能実習制度を本来の研修や技能実習などの目的とは異なった形で使用してしまっている事例が多発しています。

 

留学生の採用は、あくまで社員という形で採用するため企業側も最大限サポートするような形をとっている企業が多いのですが、技能実習制度は、技能実習や研修という建前で隠れみのとなって単に低賃金労働力確保のような使い方をしていることが社会問題となっています。

まとめ

留学生と外国人実習生は、採用までの流れや受け入れ方なども違い、さらに企業の考えも違います。残念ながら現状では、外国から実習にやってきて、教える側の立場であるという強みを握ってしまい、外国人実習生を採用する側である企業が、採用をした後のサポートがうまくできていないのが外国人実習生に対しての現状です。

 

しかし、留学生は日本政府が留学生を、日本企業が積極的に雇用できるように動いてさらにインバウンドの対応などで、外国人留学生の採用が非常に人気を得ていることから日本国内の企業から重宝されています。同じ国出身であっても、立場が違うだけで格差ができるのは発展途上国からの研修とはいえども、企業側が悪いという風に考えるだけではなく国主導で何か現状を変える手立てがないのか考えてほしいものです。